II. 研究教育系職員等の募集制度・事業
研究教育系職員等の募集制度や事業は、国立天文台内の制度、国立天文台関連組織の事業および外部機関の事業があります。ここでは、そのような制度や事業の中でも外国人研究者等が多く応募している主な制度や事業を紹介します。
1. 国立天文台内の制度
(A) 研究教育職員
研究教育職員は研究または研究教育の職務に専従する職員で、教授、准教授、助教等の職名に分かれます。またテニュアトラック制助教等の一部を除き定年制職員で、専門分野や経験により採用時に所属プロジェクト等に配属されます。
募集時に所属プロジェクト等が指定されている「テニュアトラック制助教」の雇用期間は5年ですが、5年目におこなわれる審査の結果、定年制職員に移行する可能性があります。
募集は不定期に一般公募でおこなわれ、下記のサイトに掲載されます。
(B) 特任教員
特任教員は特定の研究プロジェクトにおいて研究教育に従事する職員の総称で、特任教授、特任准教授、特任助教の職名に分かれます。また雇用期間に定めがある有期雇用職員となり、所属プロジェクト等は募集時に特定されています。
特任教員には、外国人を対象にした「外国人招へい教員」や、優秀な若手研究者を対象にした「国立天文台フェロー」が含まれます。
外国人招へい教員(外国人客員)
外国人招へい教員は、海外の研究教育機関の常勤研究者(天文学や関連分野)が、客員教授、客員准教授、あるいは客員研究員として、天文学や関連分野の研究の発展と若手研究者等の教育や育成を目的に、国立天文台との共同研究に従事します。
滞在期間は1ヶ月~1年間(当該年度内)とし、給与に加えて往復旅費が支給されます。(諸事情により、雇用関係のない出張型の外国人招へい教員として応募することも可能です。その場合、滞在期間を1ヶ月~90日間とし、滞在費に加えて往復旅費が支給されますが、「特任教員」には含まれません。)
募集は毎年1回(通常8月下旬~9月上旬)台内でおこなわれ、応募は受入研究者となる国立天文台職員による台内申請を通じておこなわれます。外国人招へい教員として国立天文台での滞在を希望する外国人研究者の方は、I.3.(B)を参照の上、受入研究者となる国立天文台職員にご相談ください。
国立天文台フェロー
国立天文台フェロー制度は、国籍を問わず、国立天文台において天文学研究のフロンティアを切り開きその分野で国際的にリードするという意欲的かつ自立した極めて優秀な若手研究者に、年俸制の特任助教として自らが計画する研究・開発に専念していただく制度です。
募集は毎年1回(通常8月頃)一般公募で行われます。
募集人数 | 若干名/年 |
---|---|
専門分野 | 天文学、天文観測装置開発および関連分野 |
応募資格 | 博士号取得者あるいは着任日までに取得見込み者 |
審査過程 | 着任予定年前年の8月頃に公募を行い、11月初旬に決定 |
契約期間 | 原則として5年間 |
年俸額 | 660万円(月額55万円) |
研究費 | 年間100万円 |
詳細および最新情報は以下のサイトをご覧ください。
(C) 特任研究員
特任研究員は特定の研究やプロジェクト等において研究に専従する職員の総称です。雇用期間に定めがある有期雇用職員となります。
特任研究員には、国内外の優秀な若手研究者を採用する「プロジェクト研究員」が含まれます。
プロジェクト研究員
プロジェクト研究員は優秀な若手研究者を対象とし、3つのカテゴリ別に公募されます。
勤務時間のうち公募カテゴリや予算・外部資金により定められた割合を上限として所属プロジェクト等が指定する業務を遂行し、それ以外の勤務時間については自身の研究を実施していただく特任研究員制度です。
応募資格は、天文学か関連する分野での博士号を有するか、着任日までに取得見込みであることです。契約期間は原則として3年間で、カテゴリ等によっては審査の上、2年以下の更新の可能性があります。
その他、カテゴリ別の概要は以下の通りです。
公募 | 年俸額 | 年間研究費 | 公募時期 (2020年実績) |
---|---|---|---|
一般公募 | 420万円 | 50万円 | 9月中旬~10月末 |
プロジェクト公募 | 420万円 | 50万円 | 不定期 |
外部資金公募 | 420万円 | 予算・外部資金による | 不定期 |
詳細は以下のサイトをご覧ください。
公募は以下のサイトに掲示されます。
(D) その他の招へい研究者
上記以外にも、外国人研究者を対象とした招へい制度があります。いずれも公募ではなく、受入研究者となる国立天文台職員が台内の規則に従い申請することにより、台内での審査を経て招へいが決定します。
これらの制度により国立天文台での滞在を希望する外国人研究者の方は、I.3.(B)を参照の上、受入研究者となる国立天文台職員にご相談ください。
主な外国人研究者のための招へい制度は以下の通りです。
海外インターン
海外インターンは、天文学や関連分野での博士号取得前の海外の大学院生を対象としており、国立天文台において教育・指導を受けつつ研究活動に従事します。滞在期間は1年未満です。有給型と無給型があり、前者は研究補助員として国立天文台の指定する業務に従事し、その給与(時給)を受け取ることができます。
サバティカル研究者
サバティカル研究者は、国内外の他の研究機関や大学に雇用されている研究者がサバティカル制度を利用して国立天文台で自主的調査研究をおこなう研究者を対象としています。滞在期間は1ヶ月以上1年以内で、原則として給与や滞在費、旅費等は支給されません。
詳細は以下のサイトをご覧ください。
2. 国立天文台関連組織の事業
(A) EACOAフェローシップ
EACOA フェローシップは、国立天文台を含む東アジアの国や地域の4機関(下記)が設立した東アジア中核天文台連合(EACOA)による事業で、東アジアでの天文学研究協力推進のため国籍を問わず優秀な若手研究者によるEACOA参加機関での研究活動を支援する奨学金事業です。EACOAフェローは、3年間のフェローシップ期間中、EACOA参加機関のうち少なくとも2機関に滞在して研究活動に従事します(1機関に1年以上滞在)。
EACOA参加機関は次の通りです。
- 日本:国立天文台(NAOJ)
- 中国:中国科学院天文大科学研究中心(CAMS)
- 韓国:韓国天文研究院(KASI)
- 台湾:台湾中央研究院天文及天文物理研究所(ASIAA)
EACOAフェローは国立天文台との直接の雇用関係は生じませんが、国立天文台もEACOA参加機関の一つとしてEACOAフェローを受け入れています。
募集人数 | 1名/年 |
---|---|
専門分野 | 天文学および関連分野 |
応募資格 | 着任日以前5年以内に博士号取得した者 |
応募締切 | 着任予定年前年の11月 |
期間 | 原則として3年間(審査の上、最長5年間) |
奨学金 | 月額5,000US$(2020年の実績例) |
研究費 | 年間20,000US$(2020年の実績例) |
移転費 | 航空賃を含む実費金額 上限4,000US$ |
EACOAフェローシップ制度およびEACOAの詳細は以下のサイトをご覧ください。
(B) IAU Outreach Visitor Program
IAU Outreach Visitor Programは国際天文学連合(IAU)の国際普及室(OAO)による事業で、国立天文台に2~3ヶ月間滞在して(*)IAUのアウトリーチ活動に従事する、天文学および関連分野の専門知識を有するスタッフを募集する制度です。国立天文台との直接の雇用関係は生じませんが、国立天文台滞在中の滞在費および往復旅費等が国立天文台より支給されます。
*2020年分募集(終了)は、新型コロナウィルス感染者拡大の状況を鑑み、原則として2ヶ月間は自国等からのリモート業務、1ヶ月間を国立天文台での滞在による業務とすることを予定しています。今後の募集も、その時の状況を踏まえ、採用者との協議や合意により国立天文台での滞在期間を決定します。
詳細および最新情報は以下のサイトをご覧ください。
IAU Outreach Visitors Programme(英語のみ)
3. 外部機関の事業
(A) 日本学術振興会(JSPS)による事業
日本学術振興会(JSPS)では、共同研究や議論、意見交換等を通じて研究を推進するために日本の研究機関等が諸外国の優秀な研究者を招へいすることを支援する「外国人研究者招へい事業」として、各種奨学金プログラムを実施しています。国立天文台でもJSPSのプログラムを利用する外国人研究者を受け入れています
JSPSの外国人研究者招へい事業は、博士号取得前後の若手研究者を対象とした「外国人特別研究員」枠と、中堅から教授級の研究者を対象とした「外国人招へい研究者」枠に分類されます。
一部のプログラムを除き、渡航費(往復国際航空券)、滞在費、調査研究費(あるいは科学研究費補助金)が支給されます。
またプログラムによっては、受入研究者となる国立天文台職員による事前承諾や受入研究者からの申請が必要とされる場合がありますので、そのようなプログラムにより国立天文台での滞在を希望する外国人研究者の方は、I.3.(B)を参照の上、受入研究者となる国立天文台職員にご相談ください。
JSPSによる各プログラムの詳細は以下のサイトをご覧ください。
(B) その他の機関による事業
JSPS以外の財団法人等の組織が日本で研究活動等をおこなう外国人研究者を支援する外国人招へい事業のうち、国立天文台での研究を希望する外国人研究者が対象に含まれる事業はあまり多くありませんが、天文学や観測機器の開発等に関連した研究分野を対象とした主な外国人招へい事業の概要は以下の通りです。詳細は、各事業のウェブサイトをご覧ください。
またプログラムによっては、受入研究者となる国立天文台職員による事前承諾や受入研究者からの申請が必要とされる場合がありますので、そのようなプログラムにより国立天文台での滞在を希望する外国人研究者の方は、I.3.(B)を参照の上、受入研究者となる国立天文台職員にご相談ください。
組織名 プログラム名 | 対象・要件 | 滞在期間 |
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キヤノン財団 Research Fellowships | 国籍:欧州 対象:原則として修士号・博士号取得後10年以内 | 3ヶ月~1年 |
日露青年交流センター 若手研究者等フェローシップ・ロシア人研究者招へい | 国籍:ロシア連邦 対象:大学院生以上の研究者等(事業終了時40歳以下) | 原則1週間 | 情報通信研究機構(NICT) 国際交流プログラム・海外研究者個別招へい制度 | 分野:情報通信 対象:博士の学位取得または同等以上(実績があれば博士課程在籍者も可) | 1年以内 |
公益財団法人池谷科学技術振興財団 国際交流等助成(招へい) | 分野:先端材料およびこれに関連する科学技術 | ― |